多様化する社会に「伝わる」が求められている

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わたしたちをとりまく価値観の複雑化、一人ひとりのライフスタイルの変遷、グローバリゼーションにさらされるビジネス…それらをひっくるめて「多様化する社会」と言われたりします。

むずかしく考えなくても、もっと身近な例で考えてみましょう。みなさんの趣味の分野はいかがでしょうか。昔にくらべ、今は枚挙にいとまがないぐらいさまざまなものがありますよね。「若者の~離れ」とよく言われておりますが、それは趣味の多様化にともなって生じた結果論にすぎません。インターネットの発達により情報の流れが一方通行でなくなり、これまで隠れていた多様性が顕在化してきたとみる向きもありますが。

ともあれ、多様化する社会において「伝わる」ことがどう関係してくるのでしょうか。

多様化の結果としての短命化

市場の成熟化・社会の多様化などの影響で、製品のライフサイクルにおいて短命化傾向がみられます。経済産業省発表の2007年版ものづくり白書から引用します。ちょっと古いのですが、今でもその傾向は変わらないと思います。

近年の急激な技術革新、市場ニーズの多様化等により、製品が市場に投入されてから、成長、成熟、衰退までの製品ライフサイクルの期間が短くなる傾向がある。現在のライフサイクル期間を5年前と比較し、どの程度短期化しているかを業種別にみると、特に家電産業における短期化が著しく、5年前の59.9%になっている。(中略)
製品ライフサイクルの短縮化は、多品種少量生産化(70.4%)を促がすとともに、価格低下のスピードを速めている(64.0%)。
(第2節「我が国製造業の海外展開の現状と国内拠点の役割」P.54より)

つまり、市場ニーズの多様化にともなう製品ライフサイクルの短命化により、ものづくりの各現場でスピード化・低価格化がいやおうなく迫られているのです。みなさんが日々感じていたことも、こうしてデータとして突きつけられると背筋にイヤな汗が流れますね。

ものづくりにおける技術情報とは

ここでひとつ、ものづくりのサイクルに目を向けてみましょう。一口に「ものづくり」といっても、それはさまざまな要素を含んでいます。マーケティングなどの市場調査からはじまり、企画、開発、設計、製造、輸送、販売、アフターサービスといった工程すべてが「ものづくり」にあたります。

一社がすべての工程をまかなうことは不可能であるため、多くの企業・多くの人員がこのサイクルに関わってきます。このサイクルの関係性のなかでは、膨大な技術情報がやりとりされているのです。開発のポイント、組み立てのコツ、取扱注意事項、製品PR時のおすすめ箇所、取扱説明書…ものづくりにはこうした技術情報のやりとりが欠かせません。

スピード化と「伝わる」ことの重要性

さらにいえば、技術情報がスムーズに「伝わる」ことで、ものづくりサイクルもスムーズにまわりスピード化に貢献することができるのです。これはなにも企業間に限っての話ではありません。一つの企業、そのなかの一人ひとりに技術情報が「伝わる」  ここを疎かにしてしまっては、ものづくりのサイクルがずっこけてしまいます。「伝わる」ことって、みなさんが思っている以上に高い価値を秘めているのです。

製品ライフサイクルの短命化・スピード化にともない、技術情報をとりまく環境も変化しています。みなさんもうすうすは感じておられるとは思いますが、「伝わる」ことって実はとてもむずかしいことなんです。けれども、そんなむずかしさにしり込みすることなく、「伝わる」ことをわたしたちと一緒に考えていきましょう。