テクノロジーは、理解されて初めて価値を産む

テクノロジーは、理解されて初めて価値を産む
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イギリスのSF作家アーサー・C・クラークは、こんな言葉を残しています。

充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。(Any sufficiently advanced technology is indistinguishable from magic.)

後に「クラークの三法則」の一つとして知られる有名な文章ですが、とても含蓄に富んだ言葉だと思います。みなさんの目の前にある箱(PCだったりスマホだったり)だって見ようによっては魔法がつまっているようなものですよね。

 

魔法と理解とテクノロジー

とはいえ、わたしたちはその魔法で何ができるのか理解して使っているわけです。なぜ、仕組みもわからないツールを使いこなすことができるのでしょうか。それは技術情報がきちんと「伝わって」いるから、わたしたちは魔法を使いこなすことができるのですね。

その魔法はものづくりの結果によって生まれた「technology」のことです。ものづくりのサイクルのなかで、さまざまな技術情報がやりとりされ、きちんと「理解されて伝わった」ことにより魔法が価値を産んだのです。当然のことながら、ものづくりの過程では魔法が働いているわけではありません。消費者にとっては魔法でも、きちんとした技術資料に基づき企画・開発・設計・組立・販売・PRされたテクノロジーの産物なのです。

 

テクノロジーとはそもそもなんなのか?

「technology」という言葉をOnline Etymology Dictionary(オンライン語源辞典)でひも解いてみると、もともとはギリシャ語の「tekhnologia」(芸術・技巧の系統的な処理)に由来していることがわかります。「techno-」がギリシャ語の「tekhne」(芸術、スキル、技巧)にあたるわけですね。

語尾の「-logia」は名詞「logos」に接辞-iaがついたもので、「logos」はお話・言葉を意味します。つまり「technology」とは「技術についての論」とでもいうような意味をそもそも持っているわけです。科学技術一般を示す「technology」に「話す、伝える」という意味が含まれているなんて、なんだか非常に示唆的な感じを受けます。

 

テクノロジーと「伝える」ことは、かように不可分なのです

どんな素晴らしいテクノロジーであっても、理解されなければ価値を産むことができません。その「理解」と「価値」を支えるものこそが「伝える」ことなのです。「技術を伝える」……それこそが「technology」の正しいあり方のように思えてなりません。

これから先、新しい技術が生まれるたび、「伝える」ことが必要になってきます。みなさんも一度たちどまって、「伝える」ことの価値を考えてみませんか?

 


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