マニュアルってそもそも何だ?

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「マニュアルって何?」

三田誠広氏の小説にありそうな問いかけですが、そもそもマニュアルっていったい何なのでしょうか。今回は普段なにげなくつかっている「マニュアル」という言葉に焦点をあててみたいと思います。

「マニュアル」の成り立ちについて、Online Etymology Dictionary(オンライン語源辞典)でさっそく検索してみましょう。

 

manualもhandも同じ語源!?

「manual」はもともとラテン語の「manuale」(本のカバーやケース)が元になっているようです。そもそも「man-」というのがラテン語の「manus」(手)を語源としており、英語のhandも「manus」から派生した古英語「mund」からきています。つまり「manual」も「handbook」も、もともと同じ語源からきているのですね。言われてみれば、なんとなーく似た言葉のように思えてきます。

ローマの人たちにとって、マニュアルとは何だったのでしょうか。ITmediaに掲載された記事「マニュアル活用のコツは歴史が証明している(1)(2)」より、ちょっと長くなりますが引用させていただきます。

世界史の中でもっとも発達した現実的な世界国家を建設したのは、ロ-マ帝国である。もちろん、ロ-マ帝国は一日にして成ったわけではない。幾多の困難を経てその基盤を固め、現世的繁栄を極めたのであるが、その困難の中でも最大のものは、紀元前250年から約120年を超える地中海の覇者カルタゴとの戦いであった。世にこれをポエニ戦役という。この時のマニュアルは現在の形式と運用と変わるところがほとんどない。(中略)

マニュアルはラテン語で「手が動く」という意味である。具体的に現場でどう行動するかを示したものである。世界国家を作ったロ-マ人は行動が全てであること、行動が戦争に勝つか負けるかを決定するのは、一定の標準的機能の遂行であることを知っていた。

企業戦略上の視点からみたコンプライアンス維持の重要性とか、企業の存続をかけた事業ミックスといった経営行動とそれが実行に移されたときの現場の行動の2つを結びつけるのがマニュアルである。

現代の国際経済の苛烈な競争を考えるとき、それらはポエニ戦争をはるかに超える厳しさであろう。だから、マニュアルは、消耗の激しい現代の企業経営に必要なのである。

世界史の中のマニュアル、という非常に興味深い論が展開されています。
マニュアルは行動規範を示すものであり、経営行動と現場行動を結ぶ戦略的なツールである、という刺激的な内容です。この記事によれば、今をさること2300年前からマニュアルは使われてきたのですね。マニュアルに歴史ありです。

 

マニュアルという標準化機能

ここで注目したいのは、「一定の標準的機能の遂行」が勝敗を分けたというポイントです。「標準化」とはどういうものなのでしょう。それは、業務の中でもっとも効率的であり、もっとも正確で、もっともコストパフォーマンスのよい、最適な行動を示します。この「最適な行動=標準」が明示的に決められていることによって、さまざまなメリットがもたらされます。思いつくかぎりでも、

  • 業務品質の向上と維持、効率化
  • 技術伝承のスムーズ化
  • 新人の早期戦力化
  • 社員の課題把握とスキル向上の目安化

など、企業のなかでいずれも課題となるべき事柄が標準化によって解決されます。そして、その標準化を支えるものこそがマニュアルの一側面であると言えます。

 

標準化と形式知のすゝめ

よくマニュアル化とは「暗黙知」を「形式知」に置き換えることだと言われます(当ブログでも、哲学的な意味ではなくビジネス論的な意味で使わせていただきます)。
社員が暗黙のうちに持っているカンコツなどの知識・知恵を、マニュアルに明示化・固定化することによって業務の「標準化」が果たされます。暗黙知から形式知へ、形式知による標準化へ。いわゆるナレッジ・マネージメントとよばれるものの要素がここにつまっているのです。

マニュアルは単なる取扱説明書だけではありません。一人ひとりが持っている知識を共有し、「伝える」ためのツールなのです。そのツールは先にあげた、さまざまなメリットをもたらす業務上有効な武器となっていくのです。

 

業務の標準化に役立つマニュアル作成ツール「Kupu」

武器になる、と言ってもマニュアルを作成することは簡単ではありません。マニュアルを必要としている人に届け、読んでもらえるような環境を構築することが重要です。
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