禁則処理とは何か ~文字組版の基本(前半)~

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前・後半の二回にわけてとりあげる、日本語文字組版の基本。前半は「禁則処理」について扱ってみたいと思います。

禁則処理については、Wikipediaに明快な定義がなされています。

禁則処理(きんそくしょり)とは、特に日本語の文書作成・組版において、「約物などが行頭・行末などにあってはならない」などとされる禁止事項、または、それらを回避するために、字詰めや文の長さを調整したりすること。

「約物」とはもともと印刷用語で、句読点・疑問符・括弧類などの記号を指す言葉です。印刷会社によっては括弧を「パーレン」、!を「雨だれ」、?を「耳だれ」などと呼んでいたりしますね。

禁則処理については、出版社ごとにハウスルールがあります。そのため、ここでご紹介するのはあくまでも一般的な処理であることを最初にお断りしておきます。

禁則いろいろ

禁則1:行頭禁則文字

行の頭にきてはいけない文字は以下のとおり。

  • 終わり(受け)括弧類:」』)}】>≫]など
  • 拗促音:ぁぃぅぇぉっゃゅょァィゥェォッャュョなど
  • 中点や音引:・(中点/中黒)ー(音引き)―(ダーシ)-(ハイフン)など
  • 句読点:、。,.など
  • その他約物:ゝ々!?:;/など

禁則2:行末禁則文字

行の末尾にきてはいけない文字は以下のとおり。

  • 始め括弧類:「『({【<≪[など

禁則3:分離禁止文字

行をまたいで分離してはいけない文字は以下のとおり。

  • つなぎ罫:……(二倍リーダー)  (二倍ダーシ)など
  • 連数字や組数字:10,000 3/5など
  • 英単語:Mississippiなど
  • グループルビ(次回エントリーでとりあげます)

日本語組版における行末調整

上記の禁則処理を行ったあと、体裁はどのようになるのでしょう? 各行それぞれぴったり禁則があてはまればよいのですが、残念ながらそうはいかないのが悩みどころ。そこで出てくるのが「追い出し・追い込み・ぶら下がり(ぶら下げ)」といった行末調整処理となります。

追い出し・追い込み・ぶら下がり

どんなものか、下図をごらんください。

追い出し・追い込み・ぶら下がり

いかがでしょうか。この場合は行頭に文末の句点がきてしまうため、それを回避するために3パターンの処理を行っています。「追い出し」は句点とその前にくる文字を次の行へ送っているため、行間がやや空いています。「追い込み」は句点を無理やり詰め込んでいるため、行間が詰まっています。「ぶら下がり」は文字組版領域(いわゆる「版面」)から句点を飛び出させているため、きれいな組版となっています。

これは私の経験則で申し訳ないのですが、世の中的には「追い出し」処理を行っている出版社が多いように思われます。やはり字間が詰まった文章は読みづらいからでしょうね。また、どうしても詰められない行は結局追い出さざるをえなくなるため、一冊の本の中で「追い込み」「追い出し」が混在してしまう危険性もあります。

「ぶら下がり」は基本的に句読点にのみ適用されるため、その他の禁則に関しては「追い出し・追い込み」を決定する必要があります。

すべては読みやすさのため

いかがでしたでしょうか。これら禁則処理は美しい日本語組版を行う上でかかせないものとなっています。「美しい日本語組版」とは、読者にとって「読みやすい日本語組版」であることが第一義なのです。

組版が美しければ美しいほどその存在は透明になり、読者は内容に集中できるようになります。これは書籍に限った話ではなく、マニュアルをはじめとした技術文書・社内文書も然りではないでしょうか。もちろん、みんながみんなInDesignみたいな組版専用ソフトでマニュアルをつくれるわけではありませんが… Wordなどのワープロソフトでも禁則処理機能はありますので、上記日本語組版の基本のキを念頭において、読みやすい文章作成を心がけてみましょう。