意外と知らない「は」と「が」の使い分け

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日本語の文章は通常「主語」と「述語」を組み合わせて作られています。このうちの「主語」はさらに「私・あなた・犬・花」などの文章のメインとなる「名詞」、「は・が・も・こそ」などの名詞とこの後の述語をつなげる「助詞」の2つに細かく分けられます。

では、主語で使われる助詞の代表格である「は」と「が」を、私たちは普段どのように使い分けているのでしょうか。「は」と「が」の使い分けを意識することは文章全体の流れを整理し、より「伝わる」文章を作ることにつながります。

述語の種類で変わる「は」と「が」

  1. 鈴木さんはボクサーだ。(述語が名詞)
  2. 鈴木さんは強い。(述語が形容詞)
  3. 鈴木さんが勝った。(述語が動詞)

上記の例のうち、助詞が「は」になっているのは1.と2.ですね。1.と2.は述語がそれぞれ「ボクサー」という名詞と「強い」という形容詞になっています。
一方、助詞が「が」になっているのは3.で、述語は「勝った」という動詞です。

主語以外を排除する「は」と「が」

  1. 鈴木さんがボクサーだ。(「は」→「が」)
  2. 鈴木さんが強い。(「は」→「が」)
  3. 鈴木さんは勝った。(「が」→「は」)

先ほどの例文の「は」と「が」を入れ替えてみました。今度はどうでしょうか。文章のニュアンスが少し変わった印象を受けませんか?
基本の文章から「は」と「が」を入れ替えると、主語にくる人物以外を排除する意味合いが含まれるようになります。1.を例に見てみましょう。入れ替える前の文章ではただ単純に鈴木さんがボクサーであることのみを伝えています。その一方で、「は」と「が」を入れ替えた後の文章では、複数の人物が存在するグループの中でボクサーは鈴木さんだけである、ということを伝えています。

61.「は」と「が」の入れ替えによる効果

また、主語以外のものを排除するニュアンスを持たせることで、主語自体を強調する効果を持たせることもできます。

文章の流れに沿った「は」と「が」

開発企画部の木村と斉藤が明日の会議の出席者です。……①
木村は今回のプロジェクトの主担当です。……②
斉藤は今年入社したばかりの新人です。……②
木村が当日の進行役を務めます。……③

ここまでの話を踏まえて、今度は上記の文章をご覧ください。
「は」と「が」の付く主語が複数出てきましたね。これらは文章内でどういった役割をしているのでしょう。

①は会議の出席者が木村さんと斉藤さんの2人であり、3人目はいないことを伝えています。ここでは「が」を使用することで、主語の木村さんと斉藤さん以外の第三者が出現する可能性がなくなります。

②はすでに登場した木村さんと斉藤さんがそれぞれどういう人物かを紹介しています。開発企画部に斉藤さん以外の新人社員がいてもいなくても、特にこの文章には関わりがありません。そのため、ここでは名詞が述語にきたときの基本の助詞「は」を使っています。

③は当日の進行役が木村さんであり、斉藤さんではないことを示しています。木村さん「が」進行役であることを強調することで、斉藤さんは進行役を務める可能性がなくなります。

いかがでしょうか? もちろんここで紹介した以外にも細かい使い方・例外もありますが、「は」と「が」の使い分けによる主語の強調・邪魔な可能性の排除を意識することは、情報を簡潔かつ正確に伝えることにつながります。
まずは普段の会話や文章に使う「は」と「が」を観察してみましょう。何気ない言葉の中に複雑なニュアンスが含まれていることに気づくはずです。