比喩表現に気をつけよう!

比喩でイメージを伝えるコツとは

物事をよりイメージしやすくなるように受け手へ伝えるための手法として、比喩表現は日常の中でも様々なシチュエーションで用いられていますね。
例えば貸してほしい道具があるのに名前を思い出せないとき、とっさに「先がフォークみたいになってるやつ!」と他のものに置き換えて説明しようとするのも立派な比喩表現です。
道具の名前を思い出すことができなくても適切な比喩を使って説明できれば、借りたい道具のイメージを相手と共有できるわけです。
それでは、文書などで比喩表現を上手に使いこなして読み手にイメージを伝えたい場合、何に気をつければよいのでしょうか?

比喩でイメージを伝えるコツとは

粘土をテニスボールほどの大きさに切り分けてください。

上記の例文では、粘土を切り分ける際の大きさをテニスボールに例えています。
テニスボールはテニスをしていなくても目にする機会があり、多くの人々にとって大きさを想像しやすいものですね。
比喩表現にはできる限り万人とイメージの共有を図りやすいものを用いることで、理解を助けるのに有効に働きます。
それでは下記の文章ではどうでしょう。

粘土を小石ほどの大きさに切り分けてください。

人々が「小石」という言葉に対して抱く大きさのイメージはそれぞれ異なります。
指先でつまめるほどの大きさなのか、手のひらほどの大きさなのか。
人によって解釈が変わってしまう比喩を用いると書き手と読み手のイメージ共有ができず分かりづらくなってしまいます。

粘土をテニスボールほどの大きさに切り分けてください。
その切り分けた粘土をおにぎり状になるように成形して、トマトのように赤く着色してください。

また、上記のように一つの対象に比喩を複数使用すると、全体のイメージがバラけて逆効果となってしまいます。比喩はポイントを絞って用いるようにしましょう。

説明で使う比喩と小説で使う比喩の違いは?

比喩表現は文学作品においても重要な技法として頻繁に用いられていますね。
しかし文書で説明をする際に使われる比喩表現と、小説や詩で使われる比喩表現は「伝えるべきイメージ」という点で明確な違いがあります。

説明文などの文書で用いられる比喩は、「読み手に必要な情報を正確に伝達し、理解を助ける」ためのものです。
そのため、そこで使われる比喩は前述にもあったように「できる限り万人とイメージの共有を図りやすいもの」でなければなりません。
一方で、小説などに用いられる比喩は、「書き手個人の想像を読み手と共有する」ためのものです。
その場合は「作者が対象をどのようなイメージで伝えたいか」に主眼が置かれるため、必ずしも万人が持っている感覚と比喩が一致しなければならないとは限らないのです。

例えば「この林檎は甘い」という事柄に比喩を用いて表現した場合、

  1. この林檎は蜂蜜のように甘い。
  2. この林檎は子供の頃の夢のように甘い。

1が通常の説明文の例で、「蜂蜜」という万人が共通して甘さをイメージしやすい比喩を使い、林檎の甘さの具合を分かりやすく伝えようとしています。
2は小説などの例として、「子供の頃の夢」という「甘さ」とは直接は結びつかず、万人が共通のイメージを持たない言葉を比喩として使っていますね。
こちらは作者が想像した「林檎=甘い、子供の頃の夢=甘い、林檎=子供の頃の夢」というイメージを読み手に伝えるための比喩であり、誰が読んでも同じ理解に至らなくてはならないという目的のものではありません。
小説や詩以外の文書で比喩を用いるときは、「自分の持っているイメージ」ではなく「万人と共有できるイメージ」に意識を置いて言葉を選ぶようにしましょう。